「物」の右側「勿」ってなに?

漢字「物」は、日常的によく目にする言葉ですが、その右側にある「勿(ぶつ・なかれ)」という文字に注目したことはありますか?
この「勿」は単体でも意味を持つ漢字でありながら、「物」という熟語に組み込まれることで、異なる成り立ちと役割を果たしています。
普段は気に留めない漢字の一部に、実は奥深い歴史や意味が込められているのです。
この章では、「勿」が持つ読み方、意味、そして「物」とのつながりについて、わかりやすく解説していきます。
「勿」はどう読む?読み方の基本
「勿」は、音読みで「ブツ」、訓読みでは「あからさまに『なかれ』」と読みます。
「なかれ」とは、禁止を意味する古語で、「してはならない」といった意味合いを持ちます。
このように、「勿」はもともと否定や制止を表す文字であり、古文や漢文では「~するな」といった意味で使われてきました。
現代ではあまり単体で使用されることは少なくなりましたが、熟語の一部としては今もその名残を残しています。
漢検などの学習でも目にする機会があるので、読み方と意味を知っておくと役立ちます。
漢字「物」の右側はなぜ「勿」なの?
「物」という漢字は、左側が「牛」、右側が「勿」から成る会意形声文字です。
「牛」は、古代中国において貴重な財産・生き物の象徴であり、生活に欠かせない存在でした。
一方「勿」は、もともと刃物で何かを分ける・切る動作や形を表すとされ、「分け与える」や「交差させる」といった意味を含むとする説もあります。
これらの意味が組み合わさることで、「物」は「形あるもの」「存在するもの」として成り立ちました。
つまり、「物」は単にアイテムを指すのではなく、根源的には「命あるもの」や「分けられる対象」を表現しているのです。
意外と知らない「勿」の意味と成り立ち
「勿」は、もともと刃物の形から発展した象形文字とされています。
そのため、「切る」「断つ」「分ける」といった意味を持つと考えられています。
のちに否定を意味する「なかれ」という用法に変化したのは、命令や警告に使う際の言語的変化によるものです。
また、古代中国では、「勿」は布などを結び合わせる道具や紐の交差部分を描いた形であるという説もあり、道具や行動の「止める」「分ける」などの抽象概念へと広がったと考えられています。
このように、単なる部首に見える「勿」も、背景を知ると興味深い文化と歴史の一端を感じさせてくれる存在です。
「勿」の音読み・訓読みを覚えよう

漢字の中でも、どこか不思議な形をした「勿(なかれ)」という字。
日常生活で目にする機会は少ないですが、「勿論(もちろん)」などの熟語にはよく登場します。
この字の読み方や意味を知ると、言葉の背景や日本語の深みがぐっと増して感じられるでしょう。
ここでは、「勿」の音読みと訓読み、そして「物」などの字で右側に使われる理由について、わかりやすく解説します。
音読み:「ブツ」「モツ」って読む?
「勿」は音読みで「ブツ」または「モツ」と読みます。
「ブツ」は「仏(ブツ)」と似ていますが、意味はまったく異なります。
代表的な使われ方は「勿論(もちろん)」です。
「勿」は「〜ではない」「すべからず」といった否定の意味をもち、「論じるまでもない」という意味から「もちろん」という表現が生まれました。
音の響きは少し難しく感じるかもしれませんが、熟語の中で出会うと自然に覚えられるでしょう。
訓読み:「なかれ」ってどういう意味?
訓読みの「なかれ」は、古語の世界でよく使われた言葉です。
意味は「〜してはならない」という禁止の表現。
たとえば「言うなかれ(言ってはいけない)」という形で使われ、相手に対して穏やかに制止するニュアンスをもちます。
現代ではあまり使われませんが、古典文学や和歌ではよく登場し、日本語の表現の豊かさを感じられる一語です。
「勿」という漢字が持つ“禁じる”という意味が、ここにも息づいているのです。
物の右側に「心」や「リ」がつく理由
「物」という漢字の右側にある「勿」には、形としての由来もあります。
「勿」は古くから「包む」「閉じる」といった意味を含み、何かをまとめたり内に秘めたりする象徴的な形をしています。
そのため、「心」や「りっしんべん」がつくと、感情や心の動きを表す漢字へと変化します。
たとえば「忽(こつ/たちまち)」や「怱(そう)」などは、その派生形です。
つまり、「勿」は単なる否定ではなく、“内に秘めた力”や“形のまとまり”を表す重要な要素でもあるのです。
物の右側にあることで、「見えない本質を包み込む」という意味が加わっていると考えると、漢字の奥深さがより感じられますね。
「勿」の形と部首のナゾを解説

「勿」という漢字は、形がシンプルでありながら、どこか独特な印象を与えます。
画数も少なく覚えやすい一方で、「どこが部首なの?」「どうしてこの形になったの?」と疑問をもつ人も多い字です。
ここでは、「勿」の成り立ちや部首、そして関連する漢字たちをわかりやすく解説します。
見慣れたようで意外と知られていない「勿」の世界を、少し深掘りしてみましょう。
部首はどこ?形声文字としての「勿」
「勿」は部首として扱われることもありますが、基本的には「かんにょう(勹)」に属する漢字とされています。
「勹」は“包む・くるむ”という意味をもつ部首で、「勿」もその流れを受け継いでいます。
この「勹」に、音や意味を補う部分が組み合わさってできたのが「形声文字」の一つである「勿」です。
つまり、音と形の両方から意味を作るタイプの漢字なのです。
「勹」で“包む”という動作を表し、下の部分は“結ぶ・封じる”といった意味を添えています。
こうして、「包んで閉じる=禁じる・とどめる」という概念が生まれたとされています。
象形文字から見る「勿」の姿
古代の文字にまでさかのぼると、「勿」はもともと象形文字の性質をもっていました。
甲骨文字や金文では、糸を結んで封じるような形に描かれています。
つまり、「勿」は“結びとめて開かない”という行為を象徴していたのです。
ここから、「止める」「してはならない」といった意味が派生しました。
見た目は簡単でも、古代の人々が生活の中で感じた“閉じる”という行為が形として残っていると考えると、文字の歴史の面白さが伝わってきます。
「勿」とつながる関連漢字とは?
「勿」は単独で使われるだけでなく、多くの漢字の中に形の一部として取り入れられています。
たとえば「物」「忽」「怱」などが代表的です。
「物」は“もの”を意味し、「勿」が“包む・閉じる”のイメージを持つことから、“目に見えるものをまとめる”という発想につながっています。
また、「勿」に“心”を加えると「怱(そう)」となり、心が急ぐ様子を表すようになります。
こうして見ていくと、「勿」は単なる部品ではなく、“内に秘める力”を持つ形として多くの漢字に影響を与えているのです。
「勿」を使った漢字・言葉の例

「勿」という字は単独で使われるだけでなく、他の漢字の構成要素としてもたくさん登場します。
特に「物」や「忽」など、見慣れた漢字の中にもひっそりと隠れています。
この章では、「勿」がどのように他の漢字と関わっているのか、そしてどんな言葉に使われているのかを紹介します。
知っておくと、日常で漢字を見る目が少し変わるかもしれません。
物の右側が「勿」の漢字いろいろ
「物(もの)」の右側にある「勿」は、意味の核として重要な役割を果たしています。
「勿」はもともと“包む”“閉じる”といったイメージをもつため、「物」は“形のあるもの”“まとめられた存在”という意味になりました。
同じように、「忽(こつ/たちまち)」は、“思いが包まれて消えるように早い”という感覚を表し、「怱(そう)」は“心が急く”という意味をもっています。
このように、「勿」は目に見えない“内に秘める動き”や“まとめる”というイメージをもつ漢字によく登場します。
「勿」「悶」など、「勿」が含まれる漢字一覧
「勿」は多くの漢字に組み込まれており、それぞれが異なる意味を生み出しています。
たとえば、「悶(もん)」は“心が閉じこもる”という意味をもち、「心」と「勿」が組み合わさって“心の中にこもる苦しみ”を表しています。
「忽(こつ)」「怱(そう)」「物(ぶつ)」「勿体(もったい)」「勿論(もちろん)」なども、「勿」のもつ“包む・とどめる”という原義を受け継いでいるのです。
このように見ていくと、「勿」は単なる形の一部ではなく、意味を作り出す大切な“骨格”であることがわかります。
「物」の音符としての使われ方を知ろう
漢字の構成では、「意味」を表す部分(意符)と「読み(音)」を示す部分(音符)が組み合わされることがよくあります。
「物」の場合、「牛」が意味を、「勿」が音を表しています。
つまり、「勿」は“モツ”という音の手がかりとして働き、「物(モツ)」という読み方が生まれました。
このように、音符としての「勿」は多くの漢字に共通して“モツ・ブツ”という音を伝える役割を担っています。
漢字を覚えるとき、「音符」としての「勿」を意識すると、関連する漢字の読み方を自然に理解しやすくなります。
漢字を覚える!楽しい記憶テクニック

漢字を覚えるのは難しいと感じる人も多いですが、コツをつかめば驚くほどスムーズに記憶できます。
特に「勿」のように形がシンプルな字は、意味のつながりや成り立ちを意識することで、自然と印象に残ります。
ここでは「音符」「意味」「イメージ」を使った3つの覚え方を紹介します。
「音符」を使った効率的な覚え方
漢字には「音」を表す部分(音符)があり、それを意識すると効率的に覚えられます。
「勿」は「モツ」や「ブツ」と読む音符として働くため、「物(ブツ)」「勿論(モチロン)」などの読み方が自然とつながります。
共通の音を持つ漢字をセットで覚えると、記憶の整理がしやすくなるのです。
たとえば「勿」「物」「没」「勃」などを並べて書いてみると、形や発音の関係が見えてきます。
意味と組み合わせから記憶するコツ
漢字は「意味の組み合わせ」で成り立つことが多いです。
「勿」は“包む・閉じる”というイメージをもつため、それに「心」がつくと「悶(もん)」=心を閉じこめる、と覚えると印象的です。
このように、「勿」は“何かを中にとどめる”という意味を軸にして考えると、関連する漢字を芋づる式に記憶できます。
意味でつながるグループを作るのが、忘れにくいポイントです。
絵で覚える!ビジュアル記憶法
「勿」という字は、形の印象が強いので絵で覚えるのも効果的です。
たとえば、“袋の口を結んで封をする”イメージを描くと、「包む」「閉じる」という意味が頭に残ります。
漢字を絵に変えて視覚的に覚える方法は、子どもから大人まで使える万能な記憶術です。
難しい漢字ほど、絵でイメージ化すると脳が自然に情報を整理してくれます。
漢字を実際に使ってみよう

知識として覚えるだけでなく、実際に使ってみることで漢字の理解が深まります。
「勿」は熟語にも多く登場するので、日常生活や文章の中で使ってみるのがおすすめです。
少し古風な言葉もありますが、使い方を知っておくと日本語の表現力が広がります。
「勿」が使われる熟語と例文
代表的な熟語には、「勿論(もちろん)」「勿体(もったい)」「勿怪(もっけ)」などがあります。
・勿論:言うまでもなく。
例文:「彼が成功するのは勿論のことだ。」
・勿体:価値がありすぎる、ありがたい。
例文:「そんなお言葉、勿体ないです。」
・勿怪(もっけ):思いがけず幸運なこと。
例文:「それは勿怪の幸いですね。」
これらを見ると、「勿」は“当然・当然視される”という肯定のイメージにも発展していることがわかります。
日常会話や文章に応用してみよう
普段の会話で「勿」を直接使う機会は少ないですが、熟語を意識して使うだけで文章に深みが出ます。
たとえば、「当然だね」を「勿論だね」に言い換えると、少し丁寧で落ち着いた印象になります。
また、「勿体ない」は、感謝や謙遜の気持ちを伝える便利な言葉。
漢字の意味を理解した上で使うと、言葉の重みが変わって感じられるはずです。
まとめ|「勿」の読み方から広がる漢字の魅力
「勿」は、一見シンプルでも多くの漢字や熟語の中で重要な役割を果たしてきました。
「包む」「閉じる」という象徴的な意味を持ち、否定・制止・内に秘めるといった概念を表現します。
音読み・訓読みを通して学ぶと、他の漢字とのつながりも見えてきます。
また、「勿」は“形と意味のバランスが取れた美しい字”でもあります。
漢字を一文字ずつ丁寧に見ていくと、言葉の成り立ちや日本語の奥深さをより実感できるでしょう。

